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菊池史子 個展 "TIME LAGS"

Solo Exhibition by Fumiko Kikuchi

 

YUKI-SIS では、11月12日(土)-26日(土)菊池史子個展 [TIME LAGS] を開催いたします。

 

菊池史子は1986年生まれ。2009年日本大学藝術学部(芸術学科絵画コース/版画)を卒業後、渡独。

現在ドイツ、ブラウンシュバイクで作家活動を行っています。

版画を専攻していた彼女は、"記憶"や"関係性","時間"をテーマに撮りためた写真を厳選し、版画で使う雁皮紙や洋紙に染料を写し取り作品を仕上げています。どこかで見たことがあるような、デジャヴ-既視感を起こすような作風は、人の奥底に潜んだ記憶にそっと寄り添い、時とともに薄れ消え去っていく風景、人の感情、人とのかかわりを思いおこさせてくれます。

 

今回の個展のタイトルは「TIME LAGS」。

2013年に偶然道ばたで拾った百科事典をモチーフに用い、現代とその当時の価値観、時間差を同じ画面上に展開しています。


 

会  期

2016年11月12日(土)~11月26日(土)
12:00~19:00

日、月、休廊 Closed on Sunday, Monday

 

Artist note

 

TIME LAGS

 

2013 年の冬、道ばたで百科事典を拾って帰った。
3年間読みもしないでただ部屋に置いておいた。
2016 年、百科事典についてもう⼀度考えてみることにした。
というか、その捨てられていた百科事典について考えてみることにした。
その百科事典は全部で24冊あり、本の端は指の腹を滑らせると切れるのではないかとおもうくらい鋭い。まだ新しいのだ。中⾝はフルカラーである。
捨てられた背景は簡単で必要なくなったからだ。
なぜ必要ではなくなったのか。そこが論点になる。
百科事典を引っ張りだしてA からZ 順にならんだ数冊の中から⼀冊⾒つけて調べるよりも早くて簡単なものが⼿に⼊ったからである。
それはインターネット。
インターネットはいわば百科事典のようなものであり、打ち込めばすぐに回答が出てくる。もちろんフルカラーで。
百科事典の場合、時間がかかる。調べたいものにたどり着くまで、百科事典ならば何枚めくらなくてはいけないのだろうか。でも、めくっている間、どれだけ興味深い寄り道ができるのか。時間をかけて百科事典を引く姿は失われた⾵景の⼀つかもしれないが、今は百科事典で調べる⽅が贅沢な時間のかけ⽅でもあるのだろう。
「わからない」から「わかる」まで時間がかかる。わかってからも時間がかかる。
⽂化というのは時間をかけて作った芸術の百科事典のようなものかなとも思ったりする。

 

菊池 史⼦